laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

ヌーディストビーチ。

 暑い夏には裸が似合う。
 カッーと照りつける太陽の下、白い浜辺で全裸になりたい。

 20数年も前、オーストラリア東海岸、クイーンズランド州にある長いコーストラインと美しい砂浜で有名なサンシャインコーストを訪れた。当てもなくウォーキングしていたら、ヌーサ国立公園に入り込んだ。よく整備されたなだらかな山道のトレッキングコースを歩いていたら、徐々に視界が広がり、ちょっと入り江になったきれいなビーチへと道が続いていた。日光浴や泳ぎ、ビーチバレーや釣りに興じているオージーらの姿が遠目に見え、見慣れた静かな観光リゾートビーチの光景だった。
 
 ところが、近づいていくうちに何かおかしいことに気付いた。バレーボールを一生懸命追う姿の男女老若たちは何も身に付けていない。そこからちょっと離れた波打ち際に立つ男性は、自分の背丈より倍以上はあるだろう釣竿の端部分を、自らの股間付近で垂直に掲げて魚のあたりを待ち構えている。おおらかといえばおおらかなのだが、20歳になったばかりの日本からやって来た青年の目には、あまりにも刺激的過ぎた。好奇心はあったが、そのビーチに足を踏み入れることはできなかった。

 それから半年余り後、タイのコ・パンガンという小さな島で初めてヌーディストビーチを体験した。だが、まだまだ青二才。羞恥心が先に立ち、ビーチのずっと端っこのだれもいない岩陰で全裸になった。見られているんじゃないか。いや、大丈夫だ。なんか落ち着かないなぁ。などとあぁでもないこうでもないと裸で逡巡しているうち、暑い日ざしもあって眠りこんでしまった。かさかさという物音で目を覚ましたら、行商人と思われるローカルのおばちゃまが、白い目でじろじろこちらを見ていた。な〜んか、やな感じ。

 少しばかりの開放感を味わった青年は、その後、機会あるたびに南国のビーチで脱ぐようになった。一番楽しかったのは、ゲイの島で知られるミコノス島のヌーディストビーチ。アジア人なんか相手にしてくれないという孤立感が、羞恥心を完全に取り去ってくれた。こうも大胆に全裸になると、人間、かなり度胸がつきます。じろじろ見ている人こそ変態。ビーチで服なんか着ていたらそれこそ完全な異邦人。汗でべたついた衣服をすべて脱ぎ去り、身も心も開放されました。まぁ、それなりの注意をしなかったので、これまでに経験したことのない部分が日焼けしてしまい、それはそれでつらかったのですが。

 ウィキペディアによると、ヌーディストは「19世紀末、ヨーロッパにおいて、工業生産の増大と鉄道、自動車による加速度的な近代化に反発するかたちで、自然回帰の動きが高まり、ハンドクラフト運動、禁煙・禁酒運動、健康食、健康飲料(果実ジュースなど)、ダンス、海水浴、日光浴、ワンダーフォーゲル、ハイキングなど野外活動の推奨などが声高に叫ばれ始めた頃に、こうした運動がまずドイツで始まり、続いて他のヨーロッパ各国に広がり、さらにアメリカ大陸やオーストラリアなどにも広まった。」ということらしい。

 なんとも、ナチュラルじゃないですか。

 自然志向が高まっている昨今、今年の夏は全裸をお勧めします。

 とは言っても、日本にはヌーディストビーチはありません。興味のある方は海を渡って挑戦してくださいませ。