laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

地震体験記 床うねり足すくむ

 仙台市の本社5階、編集局でパソコンで原稿を打っている時に揺れは来た。強い。これまで経験したことがない。床がうねる。机につかまって立ち、脚を踏ん張った。

 ガタガタ。キャビネットと壁がぶつかる。コーヒーカップが転げ落ちる。パソコンの画面が倒れる。足がすくんで一歩が出ない。棚の書類が雪崩のように滑り落ちるのをただ見ているしかない。

 同僚は机の下に潜っている。床にへたり込む女性も。悲鳴は起きない。人は本当に怖いと言葉を失うことを知った。

 揺れはやまない。強い状態を保って震え続ける。このビルは大丈夫か。阪神大震災でビルがぺしゃんこになった場面が頭に浮かぶ。地震でこれほどの恐怖心を覚えたことはない。



 ようやく収まった。2分は続いただろうか。体感ではそう感じた。床は書類が散乱している。

 階段を下りて外に出た。廊下の天井から水が漏れていた。ビルの外壁がはがれていた。携帯電話で妻に電話したが、つながらなかった。
 「子どもたちもみんな無事です」。妻からメールが届いたのは発生から2時間半後だった。(河北新報社編集委員・伊藤寿行)

【写真説明】壁と門扉が崩れ、瓦が散乱した寺院=11日午後3時50分ごろ、仙台市宮城野区