編集後記「なれ合い」
「秋田では、酒なしじゃ本音が出ないのよ。やっぱり、飲みにケーション
が大事なんですよ」
ほろ酔い加減で上機嫌の秋田市議はこう説明した。
同席の同僚議員たちも一様に後ろめたさなど全く感じていないようで、
「何が悪いんだ?」と口をそろえた。
場所は秋田市内のホテル。2月初め、市議会2月定例会を前に市長ら市
役所幹部と議会最大会派との密室での酒席が開かれた。その直前には、隣
室で1時間にわたって新年度当初予算案の概要が市側から議員らに説明さ
れていた。これも密室。議員たちへの説明会は他会派へも開いていたが、市
役所からホテルへと会場を移したのはこの場だけ。
懇親会と銘打った恒例の行事は、かつて他会派との酒席もあったが、時代
の流れで廃止され、現在残っているのが、議会のほぼ過半数に近い与党最
大会派との飲み会だけになったという。会費は各自負担だが、れっきとした市
長の公務と位置づけられている。
「なんだがなぁ。今の時代に。何考えてんだか」。
ため息交じりで取材に出向き、言われたのが冒頭の言葉。
懇親会そのものが悪いとは言いません。人を理解するのにお酒が必要な時
もそりゃあるでしょう。でもね...............。立場ってもんがあるじゃない。
「なれ合い」でしかない会合は、当事者にとっては懇親会という耳障りのいい
言葉で説明されてしまう。こんなんでいいんでしょうか?
詳しくは、本紙連載中の「変えよう地方議会」本日付け(6日・3面)を参照くだ
さい。