laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

パノラマ。

 ワイメア(ハワイ・オアフ島)、ホノルアベイ(ハワイ・マウイ島)、ウルワツ(インドネシアバリ島)、Jベイ(南アフリカ)、ラグラン(ニュージーランド)......。
 世界屈指のサーフスポットは、少なからず高台からその威容を眺めることができる。何層ものうねりがほぼ等間隔ではるか沖から岸へと迫り、ある地点からライト、レフトにドミノ倒しのように波がいっせいに割れていく。うねりの方向や風などの気象条件がピタリと合えば、目を見張る自然の造形美が眼下に広がるパノラマの世界だ。その絶景をひと目見ようと、サーファーならず多くの人たちが足を運んでいる。

 新しく美しいパノラマが、日本有数のサーフスポット「仙台新港」に現われた。
 3月30日から供用開始となった仙台港向洋地区(仙台市宮城野区中野)の海浜公園からの眺めだ。宮城県仙台港南端の緑地約7㌶に整備したこの「向洋海浜公園」は、太平洋をほぼ180度一望できる高台にあり、海の様子を眺めることができるばかりか、かつてコアジサシの営巣地の北限としても知られた野鳥の宝庫「蒲生干潟」(5.5㌶)が南側に隣接しているため、気軽でしかも良質のバードウォッチィングが楽しめる。舗装、未舗装合わせて400台分の駐車場とイベント広場を備え、夏までにはトイレとあずまやが完成するという。
 七北田川河口まで続く長いビーチライン(長浜)の向こう沖には、いくつものサーフポイントが点在している。良質のビーチブレイク、特にビッグウェーブが素晴らしい仙台新港は、一般的にはあまり知られていないが、サーファーの間ではあまりにも有名な場所で、何度となくサーフィン雑誌にカバーされてきた。
 サーファーにとって理想的なポイントに登場したこのパノラマ。正直、素晴らしすぎる。サーファーはもちろんこれまで新港には関心がなかった人たちもこの景色を一度目にすれば、うなずくことうけあいです。
 海浜公園ができた背景には、地元サーファーたちが時間をかけて熱心に行政側に要望したというエピソードがある。今後トイレやビーチ清掃をサーファーたちが当番制で担っていくといい、自らが率先して自分たちの大切な場所を守っていく。

 かつて新港に通うサーファーたちは、一部無軌道なサーファーの存在と社会的偏見から奇異の目で見られていた。マリンレジャーが広く普及するようになり、サーフィンはいまや若者に限らず中高年のスポーツとして人気が高い。そんな時代に出来上がった仙台新港の海浜公園は、サーファー×非サーファーの距離をさらに縮める役割を果たすかもしれない。
 これまでサーファーだけが堪能してきた新港の美しいパノラマが、〝ニューウェーブ〟をもたらすだろう。