laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

「ポインター」

 気を抜いていると、すぐに財布が膨らんでしまう。
 野口英世さんはいつも、福沢諭吉さんになるとあっという間に姿を消している。肝心の中身が減っているのに、財布だけは膨らみ続けている。
 お札じゃなくていろんなカード類がたまりにたまっているんです。 3月末に仙台に越してきてから1ヶ月もたっていないのに、新たに7枚のカードが財布の中に加わった。これがゴールドカードなんかだったら自慢の一つもできるんでしょうが、その類は一切ない。近所のスーパー、たこ焼き、床屋、ビデオ屋、生フルーツのジュース屋さん.......と、庶民的なサービスカードばかり。各お店で商品を購入した際、買った値段の何割かがポイントとして還元されるようなポイントカードなんです。前々からこれが好きで、というより、「カード作りますか」とお店の人に言われると、「じゃ、作りましょう」と即座に言ってしまう。断れないんですね。

 個人的には買い物ごとに自動更新されるポイントカードより、買い物ごとに判子を押してもらう原始的なポイントカードが好みだ。使えば使うほど(買えば買うほどか?)ポイントがどんどんたまっていくリアルさがいい。やめられない、手放せないから財布がどんどん膨らんでいく。引越しを機にかなりの枚数を処分してきたが、それでもすべてが財布に収まりきれないので、使用頻度の低いカードは別保管してます。
 カードをためれば当然、そのポイントをためたくなる。たこ焼きだったらあの店、日用雑貨がほしければ日曜日にポイントが倍になるあの店、缶コーヒーを買うならコンビニのあそこだろう。毎月1日だったら、うどんが半額になるあの店だ....。結果的に、そんな行動パターンを繰り返すようになった。不景気の今、お店のポイントサービスはかなり様変わりした。お客さんが少ない曜日のポイント2倍は珍しくなく、近所のファミリーレストランでは平日昼間、ポイント20倍サービスをやり始めた。ここまでくると、食指が動かなくなってしまうんですけど。
 家族で一人こんな趣向の持ち主なので、妻と娘からは「ポインター」と呼ばれている。英語では、「指す人」「指針」「助言」などを意味する「ポインター」だが、「得点」のポイントから派生させた造語「ポイント稼ぎ」のようです。
 実は、ポインターは今や世の常識だ。野村総合研究所が先日まとめた推計では、家電量販店の会員ポイントや航空会社のマイレージといった主要企業が顧客に発行するポイント制度が昨年度、政府のエコポイント制度も含めて1兆円規模に膨らんだという(4月10日、河北新報社経済面)。いやいや、〝隠れポインター〟はそこらじゅうにいるじゃないですか。結構なことです。「セコイ」というイメージが付きまといがちなポインターの地位が向上したな、これは。我が家でも胸を張れそうだ。
 とはいえ、家族や友人からポインターと呼ばれても、仕事上同僚たちからポインターとは呼ばれたくない。っていうか、呼ばれたらお終いでしょう。だって、「点数稼ぎ」=「ゴマすり」ですから。
 くれぐれもご用心。自らも肝に銘じておこうっと。