laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

ナミノコ。

サーフスポット・仙台新港の浜辺で、足の裏に確かな感触をつかむ季節になった。
 ボードを手に、波に向かおうと波打ち際を歩いていると、石ころのような突起物を感じる。例年より水温が冷たい今年はもう少し先かなと思っていたが、2週間ほど前からその兆候を感じ始めていた。
 突起物の正体は、石ころではなく貝。「ナミノコ貝」と呼ばれる食用の二枚貝だ。
 文献によると、国内では本州中部以南、世界的にはインド・太平洋域に分布するとあるが、太平洋に面する東北の浜辺にも広く生息している。別名「チョウセンハマグリ」とも呼ばれるらしく、外観は縞模様や白、黄色みがかった多種模様で、大きさも味もハマグリとアサリの中間のような貝だ。浪の満ち引きの流れを利用して海中を移動していることから、「ナミアソビ」という古名もあるそうだ。
 波乗りを始めた10代後半のころから、ナミノコの存在は知っていたが、実際に採って食べるようになってから10年とたたない。ある朝、新港の南にある七北田川の河口ポイント・蒲生に、ピクニックがてら家族で行った際、近くに住むオジサンがナミノコのことを詳しく教えてくれた。
 「結構、たくさん採れるんだから。吸い物とかみそ汁の具、そのままバター炒めにしてもいいんんだ。とにかく、うめぇんだから」
 娘がまだ小さかったこともあり、潮干狩り気分で試してみたら、これが実に面白い。まずは足でナミノコの在り処を探り、1個1個採っていく。すると、一個でもナミノコを見つけたらその周囲にごそっとかたまってあることに気づく。1時間も粘れば、バケツ1杯くらい簡単に採れてしまう。
 浜辺といっても、ナミノコは、波打ち際の砂に潜っている場合が多いので、海が穏やかな大潮時の干潮の時間帯を狙うといい。ウエットスーツに身を包めばなお安心で、小さくとも波には勢いがあるので、決して波に背中を向けずに採ることをお勧めする。
 先週末、ちょうど波も小さかったので、早々に波乗りを切り上げ、車にあった四角いプラスチックの箱を持って貝採りをしたところ、ものの30分ほどで満杯となった。ほかにも貝採りにきた人たちはいたが、みんな洋服姿だったので水の中には入れず、ウエットスーツを着ていた自分だけが短時間でごっそりと頂いた次第です
 今年の初物は、バターとニンニクで炒めて醤油をたらして食べたり、みそ汁の具にしたり、知人におすそ分けしたりして楽しんだ。う〜ん、やっぱりうまいです。自然の幸は。
 本格的な夏になってしまう前の6月下旬から7月上旬ぐらいまで楽しめます。今年は新港の大駐車場が完成したので、浜辺までのアクセスは抜群に良く、家族連れ、カップルらにも特にお勧めのお手軽レジャーです。




【写説】
 ・貝の表面に焼印のようなハートマークが2つ。ラブラブ貝です=㊤

 ・パスタとともに味わったナミノコのワイン蒸し=㊦