laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

ため息。

「幸せが、逃げていくよ」

 結婚する前の話だ。何かの拍子でため息をついたら、相方からこう言われた。

 およそ考えもつかなかったその発想に、妙に感心した覚えがある。

 本当に幸せが逃げていくかなんて分からない。おそらく、それはないだろう。いや、あるかもしれない。迷信めいた彼女の指摘を丸ごと信じ込んだわけではないが、気にはなった。

 しばらくして、その言葉を思い出す出来事に身をおくようになった。

 ため息ばかりをついている人が身近に現れた。

 その人は、せきをするようにため息をつく。何が不満なのか分からない。心配事を抱えていたのかもしれない。ため息に込められた彼の心のうちはついぞ知りえなかったが、正直、嫌だった。迷惑だった。気分が滅入った。できれば、同じ空間に居合わせたくなかった。それほど、頻繁なため息だった。

 ため息は、耳にした他人の気分をとても害する。以来、周りに人が居るような場合、意識してため息をつかないようにすることにした。

 ただ、そこは激しく感情に左右されるタチなので、とても憂鬱な気分の時には無意識に、あえて聞かせてやりたい時などは意識的に、ため息をつく。ついた後、決まってちょっと嫌な気分になるんですが。

 そう、ため息って結局、ネガティブなんです。

 ネクラ、ネアカという言い方があったが、身近な経験で知っている限り、ため息をつきがちな人はどちらかというとネクラの領域に属すると思う。それもあるんだろうか?そういう人たちがつくため息を聞くたびに、ひどく暗い思いにさせられる。

 大きな声で言いたいところですが、そっとささやきます。

 「ため息ひとつつくごとに、幸せがひとつ、逃げていきますよ」