laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

夏の残滓。

 サーファーご用達のサーフポイント「仙台新港」に、家族連れやカップルら、海水浴を目的とした波乗りとは無関係な人々が連日のように訪れビーチをにぎわしている。

 仙台という街中にある海を、より多くの市民が身近に感じて足を運ぶのはとてもいいことだと思う。宮城県が今春、広く海を見渡せる高台の大型駐車場を備えた海浜公園を整備し、夏にはトイレや東屋、水飲み場も新設されたことから、ビーチへのアクセスがぐっと便利になった。これまでビーチに顔を出さなかったノンサーファーたちが新たに訪れ始めている大きな要因だと思う。

 結構な事とは裏腹に、非常に残念なことがビーチ上で目立っている。

 ごみの散乱、である。


 予想されたこととはいえ、白砂(黒っぽくはありますが)の上に残された、花火のあとや空き缶、ペットボトル、プラごみを目にすると気持ちのいいものではない。海から運ばれてくるごみと合わせ、公園が完成したばかりのころに比べて日々汚くなっている印象が強い。

 ノンサーファーの人たちにはあまり知られていないことだが、仙台新港のビーチでは、サーファーらがボランティアで定期的に清掃を行っている。トイレ清掃については、仙台周辺のサーフショップオーナーたちで組織する任意団体「仙台サーフショップユニオン」が中心となって当番制で行っている。見えない所で活躍している地元サーファーらの奉仕の姿勢を忘れてはいけない。ごみを当たり前のように捨てていくような輩たちは、そんなことには無頓着なのだろう。

 海浜公園の入り口には、不法投棄を警告する看板が立てかけられている。5年以下の懲役又は1000万円以下の罰金が課せられるぞ!と警告してはいるんですが、どうでしょう?厳密にパトロールする係りの人がいないのであれば、文字通り「看板倒れ」なんじゃないでしょうかね。

 ごみ問題は、なにもビーチ上に限ったことではなく、日本社会が抱える深刻な問題だと思っている。日本は世界的にも道徳感の高い国民性だといわれるが、ことごみに関してはそれが疑わしい。自分の車はピカピカに磨くくせに、何食わぬ顔でタバコや空き缶を道路にポイ捨てしたり、大量のごみが山中に不法投棄されている事例なんかは枚挙に遑が無い。

 新港のごみ対策に関しては、妙案がある。

 行政主導でビーチクリーンを徹底させることだ。

 「なんで行政がそんなことに税金を使うのだ!」という声が各方面から聞こえてきそうだが、突拍子もない対策案ではなく、むしろアメリカやオーストラリアなど有名なサーフポイントでは当たり前の光景で、日の出とともに毎朝、ビーチクリーン専用車がごみを広い、ビーチを清潔、安全に保っている。健康増進やレジャー促進、観光振興という点から考えても、行政がこの分野に踏み切る意義はある。白砂で有名な伊豆下田の町では、かなり以前から行政がビーチクリーン作戦に乗り出し、地元サーファーたちと連携しながらきれいな浜辺を保ち続けている。

 やろうと思えばできるのです。

 近い将来、仙台港は国際港として世界に売り出していく。隣接のビーチは常に美しく保たれ、サーファーのみならず市民の憩いの場であると同時に県内外からレジャー・観光に訪れる人々で絶えない、ということを実現させる可能性はある。海外のビーチがきれいなのは、そうした行政の力添えがあるからです。「ごみのポイ捨てはやめましょう!」などと声高々に叫んでも、結果は無力。そう叫びつつも、抜本的で継続的な施策が必要だと思うんですよね。

 最近、仙台新港に行くたび、夏の残滓を見ながらそんなことを考えている。