laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

言葉を紡ぐ...。

 被災地に来てなにを学んで欲しいか、なにを感じて欲しいか問われたとき、『被災地に来て現状を見て、持ち帰って皆さんに発信して下さい』と答える人が多いと思うんですけれど、私は、そんなのは二の次、三の次だと思います。
 私が言いたいのは、ただひとつだけです。
 みなさんひとりひとりに、必ず、大事な人がいると思います。親であり、兄弟であり、必ずいると思います。その大事な人をもっと大事にしてあげてください。物は、いくらなくなっても、どうにかなるような気がするんです。でもね、人の命っていうのは戻って来ない。(中略)いつ、どうなるかわからないんです。」

 岩手県大槌町で、町のガイド役を務める男性の言葉。彼は、中学の同級生だった婚約者と8年越しの交際を経て、結婚するために震災前、2人で同町に戻って来た。震災当日、地震の2時間前に目の前にいた彼女は津波で命を失った。

 「今回の津波で亡くなった先代の社長の祖父に、天国で『あんた頑張ったな』って酒くんでもらえるような生き方がしたい」
 宮城県女川町の老舗蒲鉾店の現経営者はそう話す。先代からの次の教えを胸に、会社の再生を誓っている。
 「会社っつうのはな、地元の人たちに生かされてるんだからな。会社継ぐんだべから恩返しするって気持ち忘れちゃだめだ」

 岩手県野田村の村長の言葉。
 「これまで、正直、少し弱気になったことだってある。けど、『今ここで頑張らなきゃ』って自分に言い聞かせて踏みとどまった。そうじゃなきゃ、死んだ村の仲間たちにも申し訳が立たない。
 俺、柔道やってたから、苦しい状況になればなるほど、開き直れるんだ。クソ食らえ、ってね」 


 被災地で、さまざまな立場の人たちが生きている。




 『被災地復興で本当にあった忘れてはいけない話』(イースト・プレス編集部 文庫ぎんが堂)は、そのほんの一握りの人々の物語だ。


 100人いれば、100人の物語がある。

 現在、そして未来に、〝紡ぐべき言葉〟がまだまだたくさんある。