laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

ポイントパニック。

  「パーフェクトなブレイクを独り占めしたい」。サーファーはいつもそう願っている。
 でもね、一人ぼっちの海ほど心細く、寂しいものはないんです。すくなくとも自分はそう思っている。どんなにいい波を乗りこなしたとしても、その喜びを誰とも共有できない。うまく波をメイクした後、「ウッホー、ヤッタゼー」なんて有頂天に叫んでも、誰の耳にも届かない。結構、この状況は間抜けでわびしいんです。
 ヒトの目なんか気にしてないぜ、と言いながらも、ある程度の人数のサーファーの存在は海では必要だと思う。人のぬくもりが、ほしいんだな。
 ただ、ぬくもりも、人が多すぎると過剰にヒートアップしてしまう。いわゆる「ポイントパニック」です。波の数に対してサーファーの数が多すぎる状況を指すこの言葉は、かれこれ10年以上、いや15年ぐらい前からだろうか、はっきりしないが、もうずいぶんと前から、仙台新港では常態化している。

 分かりやすく言えば、「イモ洗い状態」。好天とグッドウエーブに恵まれたゴールデンウイーク期間中、新港には早朝から地元のみならず他県からもサーファーが続々と集い、まだ午前8時ぐらいだというのに、ざっと数えただけでも数百人が今か今かといい波を狙って海にぷかぷか浮いていた。 
 日常的にこういう状況で波乗りしていると、特に一人ぼっちの波乗り幻想に思いをはせる。みんながみんな同じようなことを考えているから、必然的に知らない人とは言葉を交わさない、挨拶なんてもってのほか、ナメられないようにいかつい顔つきをキープし続け、自分の波だと思ったら絶対他人に譲らない、「乗ったもん勝ちよ」で強引に引っ張る。いやいや、そんな状況で波乗りをしていると、どうしても人が悪くなってくるんです。嫌ですねぇ、こんな状況。でも、困ったことにこれもサーフィンの現実の一つなんです、ハイ。
 波があるから人が集まる。集まりすぎるからいろんな嫌なことも起こる。嫌なら行かなきゃいいじゃない、とは知らない人の発想。いや〜な雰囲気でも、ひとたびいい波に乗ってしまうとそんなこと忘れちゃうんですよねぇ。 なんだかんだ言っても、仙台新港はサーファーを魅了し続けるだけのクオリティーの高さがある。
 って、これを読んで、「んじゃ、新港に波乗りに行こうか」なんて思わないでください。お願いだから。
 でも、海に入らず、見ているだけなら大歓迎。サーファーは、ギャラリーが好きなんです。自分のことなんか誰も見ていないと分かっていても。



 【写説】㊤:「うわ、多い」。思わず叫ぶほどのサーファーの数。夏が近づくにつれ、まだまだ増えていきます=仙台新港、5月4日午前7時ごろ

 【写説】㊦:人混みを避けてゴールデンウイーク前半に攻めた「笠野ポイント」。仙台から南下すること1時間ほど。地形が決まり、人も数えるほど。今ならまだ穴場かも=5月3日午前7時半ごろ