laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

見果てぬ夢。

 18のころに波乗りを始めて以来、断続的に見続けている夢がある。
 どこか理想的なビーチで、完璧な状態のグッドウェーブが割れていて、ボードを手に興奮気味にポイントまで向かっているのだが、たどりつかない。自分のいる場所とそのビーチまでは目と鼻の先なのに、とっさの用事ができたり突然足が重くなったりと必ず何かトラブルが持ち上がり、結局は朝になって目が覚めてしまう。26年間、夢の中では一度もまともに波乗りできたことがない。
 夢は心の投影だと聞いたことがある。その真偽はともかく、その夢を見る時は、決まって心に引っかかるものを抱えている。仕事だとか交友関係だとか家族のことだったりと、決して楽観的な内容ではないことを引きずっている。でも、どうしてそれがグッドウェーブとなって夢に出てくるのかは分からない。近所であろう川の中だったり、街中のビルの一角で突如立ち現われたり、砂漠の中にも出現したことがある。
 「超分かんない!ほんと、ムカツク!」
 娘の言葉ではないが、夢の中でわめくことすらある自分が情けない。トホホ......。
 でも、最近、むかしのようにがむしゃらにその波を追い求めていない自分がいることにも気づいている。猛ダッシュだった足取りをゆるめ、途中で次々と現れるさまざな人との会話を楽しんでみたり、時に波を求めて向かって行っていることすら忘れることがある。たどりつけない焦りも少なくなってきたようにも思える。同じパターンの夢に慣れ切ってしまったのかもしれないが、年を重ねた余裕だと自分では思いたい。
 「たかが夢に何を」と思われる方も多いでしょう。されど、夢でもあるんです。
 経験を重ねながらも体力は確実に衰えている。それとともに、自分の波乗りスタイルは変わってきた。がむしゃらが少なくなった(できなくなった?)だけ、ドンと構えて波待ちするようにもなってきた。
 夢の中のグッドウェーブはいつまでたってもつかまえることができない。この先ずっと、とらえきれないのだろう。それでいいのだと思う。
 追い続けることが、夢そのものなのだから。