laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

〝神様〟がやって来た。

 サーフィンのメッカ、ハワイ・オアフ島ノースショアに、「パイプライン」というスポットがある。パワフルな波が押し寄せ、浅い水深の上にグリグリとチューブが巻くことで知られる世界でも屈指の危険極まりない場所だ。エントリーが許されるのはごく限られたサーファーでしかないこの場所で、自分の庭のように難なくハードな波を次々と乗りこなし、「マスター・オブ・パイプライン」と呼ばれた男がいた。
 「神」とも呼ばれるサーフィン界のパイオニア、ジェリー・ロペスがチューブの中で見せたスタイルに、世界中のサーファーたちがため息をつき、羨望の眼差しを送り続けた時代があった。



 あれから30年ほどの時間が経過したのだろうか。

 今年62歳になるジェリーさんが、16日、初めて仙台新港にやって来た! 当日は情報を聞きつけたサーファーが集まり、神様ジェリーさんを囲み、来仙を祝福した。期待していた波乗りこそ披露しなかったが、笑顔を振り撒きながら、温かく気さくな人柄を強く印象付ける何とも形容しがたいオーラを残していった。

 来仙は、スポンサーのパタゴニアが、ジェリーさんの伝記が出版されたのを記念して開催した来日サイン会の一環。
 当然、会場にも駈け付けました。
 その会場でも、とてもリラックスした様子で1人ひとりと言葉を交わしていたジェリーさん。一般のサファーにとってはとてつもなく大きな存在なのに、偉ぶることなくこちらが恐縮してしまうほど相手を気遣いながら接してくる態度に、あこがれつづけてきた、あの独特のレイドバックな肩の力を抜いたライディング姿が重なり合った。

 〝神様〟にあったその日、仲間と酌み交わした酒が普段に増して美味く感じた。 


 【編注】
 写真上は、『SURF is where you find it』(ジェリー・ロペス著、パタゴニア、美術出版社)のカバー写真より引用。photo by Denjiro Sato