laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

Music Box NO.1

  『Timeless』(セルジオ・メンデス



 週に一度は顔を出す中古CD店で、スタッフが手書きした短い紹介文が目を引いた。
 「セルジオ・メンデスとヒップホップの競演」。
 ほとんど好奇心だけで買ってみた。
 1曲目。皆さんおなじみのブラジルの名曲「マシュ・ケ・ナダ」。1966年に発表された『Sergio Mendes & Brasil '66』でアレンジ曲として収められ世界的大ヒットにもなった、セルジオ自身にとっても思い出深い曲。エレガントなピアノの伴奏で入り、すぐにおなじみのサンバに移行。そして、スムーズにラップ調へと移る。
 あのどちらかというとリズミカルでメローな名曲が、ラップ調の超ダンサブルなサウンドに大変身。それも、かなり格好いい。
 2曲目以降も侮れない。『レット・ミー』や『サーフボード』など、往年の名曲が現代風にアレンジされて散りばめられている。
 2006年に発表されたこのアルバムは、米グラミー賞を受けたこともある4人組のヒップホップ、ミクスチャーグループ「ブラック・アイド・ピーズ」のリーダー格ウィル・アイ・アムが直接、セルジオに企画を持ち込んで実現したという。あのスティービー・ワンダーも参加してます。かつてアントニオ・カルロス・ジョビンジョアン・ジルベルトらとともにボサノヴァを世界に広めた立役者が、還暦を越えた大御所の立場で、34歳年下で全く違うジャンルのミュージシャンと手を組む勇気と冒険、度量の大きさに恐れ入る。参りました。

【写説】ジャケット・カヴァーは、1965年時発表『The Swinger From Rio』に使われたセルフポートレイトの加工。下が、現在のセルジオさん。
  ◇音楽は生活のスパイスだ。日常のあらゆるシーンで、演歌と民謡以外さまざまなジャンルを気分次第で聴いている。アトランダムに、気になる音楽を紹介していく。