laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

セレブの自覚。

 サッカーW杯決勝トーナメント1回戦、日本ーパラグアイ戦の詳報をトップニュースで伝えた6月30日の河北新報朝刊で、W杯には全く関係ないひとつの記事に目を奪われた。
 大半の読者の関心はW杯に集中し、それほど話題にもならなかったが、かなり価値のあるニュースではないかと感じた。
 その記事は、これです。



 皆さんご存知の、東北高出身のダルビッシュ投手のボランティア精神は今に始まったことではない。2007年シーズンには、水不足に苦しむ世界の人々に水を提供するため、特定非営利活動法人・日本水フォーラムと協力し、公式戦で1勝するごとに10万円を寄付し、発展途上国の井戸掘りやポンプ設置などの資金に充てる基金を設立したり、今回自身の寄付による硬式野球の専用グラウンド整備構想が明らかになった、生まれ故郷の大阪府羽曳野市には、08年から1勝ごとに10万円を寄付。今年に入ってからでも、口蹄(こうてい)疫で被害を受けた宮崎県の畜産農家支援を目的に、妻紗栄子さんともども寄付金を贈っていることが、伝えられてきた。
 

 美談の裏に、知名度アップとか節税対策という狙いがあるのかもしれない。
 
 それでも、「偉いじゃないか」と、思う。
 
 日本球界を代表する23歳の若者は昨年末の契約更改で、前シーズン6千万円増の年棒3億3千万円プラス出来高払いでサイン。入団6年目の年棒としては史上最高を記録した。(金額推定)
 偉いと思うのには、理由がある。
 彼のように高額年棒を稼いでいるスポーツ選手や芸能人、いわゆるセレブな人たちはこの国にもたくさんいる。でも、ダルビッシュのように、身銭を切って社会貢献しているセレブが多いとは寡聞にして聞かない。善行をあえて公表しないという謙虚なセレブたちもいるにはいるのだろうが、自分たちの持つ社会への影響力を考えた場合、隠すことにあまり意味はなく、積極的にアピールすべきだと思う。それが彼らの責任でもある。ノブレスオブリージュだ。
 米大リーグで活躍してファンの人気を集めながら、一方でチームメートとの不和が伝えられ、親しい報道陣にしか口を開かない傲慢な態度を取りながら、日本のCMには笑顔で次々と登場している〝天才打者〟と呼ばれる男がいる。彼に関して、ダルビッシュのようなノブレスオブリージュのエピソードを聞いたことがない。
 そんなセレブたちの自己アピールがあまりにも目に付く中で、ダルビッシュの行動が一筋の光を照らすと感じた。
 希望的観測を含め、もしかしたら、時代は徐々に変わりつつあるのかもしれない。