laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

映画私評 NO.4

 
 『アデル』


 グラン・ブルー』に始まり、」『ニキータ』『レオン』と1980年代後半からから90年代半ばにかけての代表作の印象が強いせいか、エンターテイメント路線をひた走る監督リュック・ベッソンへの期待は薄い。娯楽の要素を随所に散りばめながらも基底にある硬派なメッセージが感動の余韻とともに伝わってきた作品はもはや過去のもの。

 「ファラオと復活の飛躍」を副題とする今回の新作も、時間潰しに楽しむ程度のお手ごろ作品だ。

 「フランスの人気コミックシリーズを原作に、エジプト王家に伝わる秘薬をめぐる冒険」。作品紹介の解説だけを読めばそれなりに期待させるが、その点で言えば期待外れだ。陳腐なストーリーを、知的でどこかおどけたところのある美人女優ルイーズ・ブルゴワンの存在とスピード感ある展開で何とか支えている。

 「これはこれで面白い」というのもひとつの感想だろう。映画館を出た後5分後には忘れてしまうような内容でも、人気はそれほど悪くないのだから。

 オフィシャルページで綴っているメッセージから、リュック・ベッソン監督の思いが読み取れる。
 いわく、「・・・・・・(中略)、僕は、今のような難しい時代には、観客に喜びとか優しさを届けたい。沈んだ気分になっている人々を元気づけてあげたい。だから僕の映画は以前より軽くなっているし、より面白く、エンタテインメントになっている。(中略)でも、それは、皆が求めていることに応じているからなんだ。不況が終わったら、また皆をノックアウトするような刺激的な作品を作ると約束するよ!」

 不況よ、早く終われ。彼の〝まともな〟作品を早く見たい!