laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

サドルからの視点。

 晴れの日限定と決めていた自転車通勤が、梅雨が明けたおかげで連日のように続いている。
 体が慣れるまでいましばらくかかりそうだが、自然の風を受けながら疾走するのはやはり気持ちがいいものだ。
 中学、高校と計6年間、当時は天候に全く関係なく自転車通学していたのと社会人になってからも不定期で自転車通勤していたので、サドルから見通す仙台市街地の道路状況はよく知っている。あらためて自転車のハンドルを握ってみると、30年近くもあまり代わり映えしない自転車環境の悪さを痛感する。サイクリストにとって、仙台の道路事情は良くないのだ。
 多くの自転車乗りが、市内中心部では歩道を走っているが、車道に比べて歩道の凹凸度合いはひどく、歩行者と一定の間隔を保てるほどの広さがある歩道は数少ない。一部の歩道では、自転車専用のスペースを設けているが、そもそも自転車は車両なのだから、車道整備の一環として全面的な見直しを図るべきだ。要するに、道路行政の中途半端さを、自転車に乗ってみることでよく分かる。
 既報の河北新報記事によると、仙台市は今年10月、コミュニティーサイクル(公共自転車)の利用実験に乗り出す、という。市内中心部限定で、5ヵ所以上の駐輪拠点を設置し、計50台以上の自転車を振り分け、希望者に貸し出す。狙いは、手軽で環境に優しい自転車の活用促進を図り、バスや地下鉄といった公共交通機関を補完する役割などを担うのだとか。
 やる前から言うのもなんですが、1000万円以内というそれなりの事業費を掛けて成果が見込めるのか大いに疑問だ。第一、中心部こそ、自転車が快適に、歩行者が安全に通行できる道路環境が整っていない。エコという耳障りのいい、分かりやすいフレーズを使った〝注目の事業〟は、無駄な混雑と歩道における混乱、安物=大切に使わない、という自転車に対する誤った意識付けをあおることにならないだろうか?  そもそも、日本は世界的にも個人あたりの自転車所有率が高いお国柄である。放置傘と同じぐらい放置自転車がゴロゴロと転がっている状況でもある。お役所が考えた使い勝手の悪いルールを有難がって守る人がどれだけいるのだろう?
 それよりなにより、各家庭にある自転車を有効利用する形でのサイクル普及を考えるべきではないか。ハンドルを握りながら、そんなことを考えている。