laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

Vol.90〝禁断の果実〟

 異常気象なのだろう。記録的な猛暑とともに、台風がやって来ない。今年初めて日本にやってきた台風4号は、沖縄から日本海へと北上し、東北を横断。さっさと北上へと抜け、太平洋側のサーファーに大きな恩恵はなかった。

 少々物足りない夏なのだ。

 台風を待ち焦がれているは、おそらくサーファーぐらいのものだろう。台風がもたらす災害はもちろん御免こうむりたいが、この季節、サーファーならば岸に押し寄せるビッグウェーブを今か今かと待ち構えている。

 こういう話を波乗りに理解のない人たちにすると、決まって怪訝な顔をされる。「無謀だ」とか「危ないじゃないか」、「災害に遭っている人たちがいるというのに不謹慎だ」「何を考えているんだ」..........。お決まりのお説教が口から飛び出してくる。だから、あまり口にしない。でも、誤解されたままでは嫌なので、ここで言っておきます。

 サーファーは、台風を待ってます!

 正確に言えば、台風がつくりだす良質のビッグウェーブを、だ。

 「台風の波に向かう、無謀なサーファー」。

 台風シーズンともなると、新聞紙上にこうした見出しが躍ることがある。それを読むたびに思うんですよね。「また始まった」と。本当に無謀なんだろうか?確かに、誰が見ても明らかに無謀なケースがないとは言わない。ただ、大半の場合、無謀だと指摘する側は波乗りをやったこともなければ、やる気もない、理解しようともしない〝サーフィン、サーファー嫌い〟な人たちと相場が決まっている。こうした人たちの主張は大方似たり寄ったりで、先に挙げた「災害に遭っている人たちがいるというのに不謹慎だ」という論調。全く賛同しかねます。

 毎日のように海に入り、環境に体が慣れているサーファーが判断する海の危険さと、陸から海を眺めているだけの素人が判断するそれとは自ずと大きく違います。波が大きいだけで「危険だ、危険だ」と騒ぎ立てられるケースがありますが、サーファーも人間、明らかに危険で無謀だと分かる海に入っていくアホはほとんどいません。
 
 台風の海に入るのは、それなりのレベルのサーファーたち。危険か安全かの判断は、それまでの経験からきちんと出せるのです。むしろ危ないのは、中途半端なサーファー。自分の力量を過信しすぎて怪我をしてしまう。そういうサーファーがいることは認めるが、それは一般的ではないということをぜひとも理解していただきたい。台風→サーフィンする→無謀→社会悪。こういう単純な思考がまだまだ健在なんですね。

 波があってこそのサーファーなのだから、より大きくより形のいい波で乗りたいという気持ちは、サーファーの素直で純粋な願いだ。波乗りを始めて今年で26年。何も知らないノンサーファーたちが、むかしと変わらない態度と口調で軽々しく「無謀だ」と叫ぶことに呆れている。