laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

映画私評 NO.6

 『ソルト』
 
 ザ・ローリング・ストーンズの大ファンだった大学の先輩から、ある時こう言われてギョっとしたことがある。
 「ミック・ジャガー最高だよね。あの唇がたまんないんだ。吸い込まれたいくらいだよ。俺はチューしたいね、あの唇に。たまんないよなぁ。なっ、分かるだろ、研ちゃん!」

 残念ながら、分からなかった。

 それでも、今ならこう言えると思う。

 「チューするなら、ミック・ジャガーじゃなくて、アンジェリーナ・ジョリーでしょ。断然、こっちの唇のほうがいいに決まってますって!」

 アメリカの雑誌のアンケートで、「一番キスされたい女優」に選ばれたこともあるというアンジェリーナ・ジョリー。チャーミングポイントのひとつになっている、あのボテボテ気味の唇がたまらなく好きだ。いやいや、唇はもちろん、知的で不良ぽっくて不可思議な雰囲気を醸し出す女優としての彼女が好きなんです。

 そういうわけで、アンジー主役の新作です。

 出世作で人気が高かった『トゥームレイダー』(2001年)ばりの迫力あるアクションシーンがいい。もはや、女優としてこの分野の階段をひたすら走り続けている印象さえ強いアンジーだが、アクションもさることながら演技でもしっかり見せます。ファンには、たまらない。

 とはいえ、ストーリーは、凝っているようで凝っていない。冷戦時代にタイムスリップさせた、ハリウッド映画では何度も見たことのある米国VSソ連の基本パターンのスパイ劇。ラストはラストで、なんだか中途半端に終わってしまった。

 それで、副題と結び付く。

 「彼女は、何者なのか?」

 知らないよ、そんな事。

 それでもいいんです。純粋に楽しめたから。

 難しいこと抜きで単に彼女の美貌と演技を見たいならお薦めします。物語は、この際度外視、ということで。

 監督はフィリップ・ノイス