laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

子離れ、親離れ。

 ひところ、「パラサイト・シングル」という言葉が流行った。

 学校を卒業した後も、親と同居して生活費や家事などを親に依存=寄生(パラサイト)=している未婚者(シングル)のこと。『パラサイト・シングルの時代』(ちくま新書、1999年)で、現象を問題提起した社会学者・山田昌弘氏(当時東京学芸助教授)。1995年時点で男女計約1000万人(20−34歳)いるとされた。

 日本経済が本格的な不況に入る以前の話だ。デフレの今、この言葉を耳にすることはほぼなくなった。苦しい経済状況に直面して就職難に立ち向かう多くの若者たちの問題がクローズアップされる中、比較的裕福な親からの援助を最大限受けて気ままに生きていると見なされた「パラサイト・シングル」たちの影は薄くなったようだが、周りを見回してみると、結構そのタイプに合うような人たちは男女問わずいるものです。

 10年ほど前、この問題に着目し、かつて「新人類」と呼ばれた同世代の男女の生き方をチームで取材したことがある。山田氏の指摘は実際の社会であったし、時代は変わっても親に依存する〝子どもの大人たち〟は未婚か既婚の区別なく少なくないと感じている。

 例えば、こんな実例からそれを感じる。

 数百万円もする結婚費用の多くを親に負担させる。同居していながら、親にわずかばかりのお金しか渡さない。自分で給料を稼ぐようになってもなお、お金持ちの親や親戚からお年玉をもらい続けている...............などなど。

 親から子への資金援助といえば聞こえはいいが、こうしたエピソードを聞くと、子が親離れ、親が子離れしていないのだな、と感じる。ケースバイケースとは理解できても。

 「家を守る」という意味からの子と親の同居が現代でも半ば常識の社会では、子離れ、親離れの定義がかなりあいまいだと思うんです。見る角度によっては「親に甘えている」と見える生き方が、別の角度から見た場合、「親と子が助け合っている」と映る。

 他人がそう(パラサイト)だろうと、自分がそうでなければ問題ない、関係ないじゃないかといわれれば、その通り。

 でも、すごく気になる。御宅の家庭はいかがですか?