laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

〝天下国家を語る〟者、足元を見ず。

 駆け出しの記者だったころ、大先輩にこんなことをよく言われた。

 「誰がどこで聞いているか分からないから、話す言葉には特に気をつけろ」

 記者は、政治家とか有名人とか、たいていの人たちにとって直接会うことができない人たちと日常的に付き合うようになることがある。自分も含めて特に若い時分、そういう特殊な体験を得意げに話したりするもので、それを戒めた警告だった。

 わざとらしく、いかにも知ったようなふうにしゃべる記者というのはどこにでもいる。ただ、同業他社だけが集う場所ならともかく、不特定多数が行き交う場所で、大きな声で得意げに話す輩も少なからずいる。

 記者に限ったことではない。こういうタイプの人間はたいていの場合、自分を見失っている。国の在り方だとか政治的な話だったり、事件、事故のようなスキャンダラスな話だったり、要するに〝事情通〟な話題について、ここぞとばかり自分の知識をひけらかしたくなるようだ。

 こういう人たちって、挨拶ができない、言葉遣いがなっていない、部屋を片付けられない................などという、一般的な常識に欠けている場合が多いと思うのだ。そもそも、その常識を必要と思っていないようなところがある。

 はぁ?とこっちが思っても、ハァ?と逆に思われるような感覚の違い、とでも申しましょうか。大上段に構えたような物言いの裏で、当たり前すぎる事ができずにいるという不思議。

 他人事や難しいことをごちゃごちゃ言う前に、まずは自分の足元を見つめてほしいな、と思う。

 「お前も気をつけろよ!」と、くだんの大先輩からお叱りを受ける前に自戒しようとも思う。