laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

指輪。

 思えば、結婚16年目にして、結婚指輪を左手の薬指にはめたのは、結婚式当日だけだったような気がする。それも、式直前に慌てて宝石店に駆け込み、2人で速攻買いした安い〝間に合わせ〟の指輪で、指輪交換のためだけに必要だった代物だ。

 そういえば、どこかにいってしまったあの指輪。存在すら忘れかけていた。

 正式な結婚指輪がなかったわけではなく、指にはめるのに、あまりにも不恰好だった。当時では珍しいオーダーメードで、2人分注文した品は、妻のはダイヤを包む土台が割れかけ、自分のはブラックオニキスをはめ込んだプラチナが、水道管を固定するボルトのようなかなり迫力ある一品だった。

 式当日前ぎりぎりに完成した真新しい結婚指輪を見て唖然とした2人は、上記の行動とあいなった。おそらく、不良品を買わされた間抜けな〝新郎新婦〟だったのだと思う。

 以来、「入り用の時に備えて」とばかりに、箱に入れたまま一応保管はしているものの、実物を最終確認してから10年ぐらい経つ。

 そんなエピソードがある結婚指輪だが、それがなくてもうちら夫婦は結婚指輪を常時はめ続けることはなかったと思う。

 その理由を、妻は「指輪は慣れないから窮屈。水洗いの時に邪魔だし」と話し、俺は「何となく嫌。それに、ずっとはめていて指に食い込んでいく悲しい結末が嫌い」。それほど、たいした理由でもない。

 指輪嫌いの妻とは違って、自分は指輪が好きだ。紳士服店経営のKさん経由で、カレッジリングを幾つか分けてもらい、気分次第で左手の薬指か小指にはめている。

 別に、「幸せが逃げないように」と願ってピンキーリングを気取っているわけではないが、これもKさんの影響ではめるようになり、それが気に入ったので、その習慣を続けている。

 「結婚10年目には、素敵な指輪に買い替えて気分一新しよう」と誓い合った夫婦だったが、いまだに買い替えていない。多分、この先もないだろう。

 そんなことを思いながらネット検索していたら、「ブラックオニキスの意味」なる文章を見つけた。

 いわく、「邪念や悪い気を払う昔から魔避けの石として用いられてきました。感情が乱れやすい人が身につけると気持ちの昂ぶりを抑制し、理性的になる事が出来ます。」

 ほう。これは、俺向きじゃないですか!

 久々に、箱を空けて再度確認してみようかな。