laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

映画私評 No.12

 MOVIX仙台(仙台市太白区長町、ザ・モール仙台長町Part2内)の営業再開日とは知らず、本日昼、娘と2人で映画を観に行った。

 HPで検索すると、都合の付く時間帯でこれが一番目にとまった。

 星守る犬

 主人公を演じた西田敏行と秋田犬がひまわり畑で寄り添うポスター。あらすじを確認することもなく、「子どもと見るには丁度いいな」と勝手に思い込み、娘は娘で「うん、CMでやってたよ。面白いかも」と言うので、なんら躊躇することなくチョイスした。

 「心温まるヒューマンストーリーなのだろう」という予想は、当たったようでも外れたようでもあり、それほど単純ではなかった。

 映画館のHPにある【あらすじ】:北海道の小さな町で、死後半年を経過したとみられる男性(西田敏行)と、死後ひと月の犬の遺体が見つかる。市役所の福祉課勤務の奥津(玉山鉄二)は、遺棄された車に残されていたリサイクルショップの買い取り証を発見。彼は仕事上仕方なく、50代とおぼしき身元不明の男性と犬がたどったと思われる道をさかのぼる旅に出ることになる。

 失礼だが、観る気持ちをかきたてる文章じゃない、これでは。言い足りない部分がとても多い。だがしかし、全編に流れる一種の“暗さ”を予感させてはいる。

 幸せって何だろう? そんな事を思った。

 交通遺児。家出少女。夫との死別。母子家庭。商売が立ち行かなくなり、クビになり、伴侶を亡くし.....。主人公だけではなく、登場人物は必ず何かしらの“陰”を抱えている。誰一人、幸せとは言い切れない状況に置かれている。

 男と秋田犬の旅と、奥津と家出少女との旅が交錯しながらストーリーが展開していく。どんでん返しも大きな起伏もない。ただひたすら、過去と現在が交錯しながらゆっくりと時間が流れていく..............。

 50過ぎかと思われる男は、町工場をクビになり、妻と1人娘に捨てられ、残された秋田犬と車で旅に出た。人生の別れに向けた旅。生きることに呻吟し続けた男だが、最期までの途上、悲壮感とは裏腹の感情を漂わせる。

 いろんな人生がある。生きている限り、人は歩み続けなければならない。あるいは、歩み続けるために生きていく。死に直面する時、何を思うか?直面するまでの過程をどう歩んできたのか?

  「孤独死」と思われがちの男は最期、実は幸せだったのではないか? 隣に寄り添う相棒がずっと付き添っていたのだから。その名は「ハッピー」。

 ●原作村上たかし ●監督瀧本智行


 【編集後記】震災後、このコーナー更新第1弾。カルトムービー『エル・トポ』以来、ほぼ4か月ぶり。最近になって、徐々に、映画を見始めている。