laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

偽り。ちょっと懺悔...。

 「こんな店、やってられるか!」

 手に持っていたグラスを流しに叩き付け、捨て台詞をはいて店を後にした。

 あれから25年。

 今でも時々、若気の至りでやってしまったあの夜の出来事を思い返す。

 最初から、そりが合わないママだった。

 バーのチーフをアルバイトでやっていた学生時代。女性たちが眩しく輝く夜の華やかな舞台裏で、ウイスキーの古いボトルの中味を空ボトルへと入れ替える作業をこまめにやらされていた。

 「いいのよ、どうせこの人、来ない人だから」

 お客さんたちの知らぬ間。勝気でずる賢いこのママはボトルキープの名札を確認しながら、当たり前のように言ったものだ。

 「新しいボトルが入ったら、これを栓を抜いた状態でテーブルに運んでちょうだいね。抜く時は悟られないように上手くやってよ。頼んだわよ、チーフ」

 単価の低いミネラルウォーターならいざ知らず、1本1万円前後するボトルの移し替え。あのバーでは、たまにそんな事をやらされていた。

 バブルのあの時代、自分のお金でそんな高価なボトルに自腹をはたいていた客はほとんどいなかった。

 たいてい、接待費という名の経費なのだから。

 確かに、だましてもそれほど心が痛まないような客層ではあった。

 しかし...。

 ある夜、たまっていた自責の念と静かな怒りが爆発してしまったんだなぁ...。

 当然、翌日お店からクビを言い渡された。

 何かとってもせいせいした気分だったが、客の前でグラスをぶん投げたのは、まずかった。

 っと、今になってもそう思う。

 中味の入れ替えなんて今どきやっている店ってあるんだろうか...。

 久々にスコッチを飲みたくなって買ってきたオールド・パー。

 後ろのラベルに、こんなことが書いてあった。




 中味入れ替えを防止するため、このオールド・パーはボトルの注ぎ口に特殊な細工が施されている。

 初めて知った、見たんですが、こんなボトル(^_^;)。

 これって、高価な部類の酒では、当たり前のつくりなんですか?

 あのバーにも、確かにオールド・パは常備してあったけど、酒を移し替えることはできたと記憶しているんだけど...。 

 それとも、勘違いかな...。