laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

No.400 くだらないオヤジ。

 「バカ者」と呼ぶにはちょっとばかし愛情を込めてしまう。「ならず者」と呼ぶには素性を知らなすぎる。

 なので、「くだらないヤツ」と切り捨てる。

 連休中の昼間、波乗りをするために、仙台市宮城野区の七北田川河口ポイントに行った。

 全国有数のサーフスポットとして知られる「仙台新港」の南側、津波被害から回復途上にある「蒲生干潟」のすぐそばのポイントだ。

 海に入って、何本か波に乗ったところ、坊主頭の中年サーファーに絡まれた。

 いきなり、自分が乗っていた波に前乗りされ、だらだらと前を塞がれた。

 何のことはない、嫌がらせだ。

 海では、ごくごくたまにこういう「くだらないバカ」が出現する。

 自分の力量を過信して、あるいは、自分がいつも通っているポイントに異常なほどのローカル意識を持ち、見知らぬサーファーに難癖を付けてくる。

 不良やヤクザ者が、通りすがりの人にイチャモンを付けて恐喝するのと似ているメンタル構造だ。

 この時、俺が何をしてこの男の気分を害したのかさっぱり分からない。

 そばで見ていた知り合いのサーファーが、後からこう言っていた。

 「明らかにあいつが悪い。そういえば、ああいうバカな男がいるとは聞いていたけど、あいつだったのか!中学生ならまだしも、いい大人が...」

 震災前、同じポイントに、「うるさいオヤジサーファーがいて、自分の知らないサーファーにとやかく言って嫌われている男がいる」という話は耳にしていた。

 その男を特定できず、震災となった。大半のサーファーが海から遠ざかり、ほとんど顔を見知ったサーファー同士で今年の春先ぐらいまで「仙台新港」周辺で波乗りを楽しんでいたので、すっかり、その「うるさいオヤジサーファー」の存在が記憶からなくなっていた。

 海で俺にイチャモンを付けたその男、「お前、調子に乗っているんだよ。みんなが言ってんだっ!」って叫んでいた。

 でも、この男、俺は全く見たこともない。その「みんな」から、文句の類を言われたことは一度もない。

 「うるさいオヤジサーファー」とこの男が同じ人物かどうかは分からない。でも、「常識が通用しないおバカさん」という点で共通しているようだ。

 水上では、レッグロープを引っ張られたり、しつこく追い回されたり、暴言を吐かれたりしたけど、まぁ、大事には至らなかった。

 大声を出して逆切れすることもなく、よくぞ我慢したなぁ、と我ながら思う。

 気分はとても悪かったけど。

 また、海でばったり会うかもしれない。

 嫌だなぁ。

 殴られるかもしれない(殴られるべき理由は全くないが...)。

 嫌だなぁ。

 かといって、こんなバカ者を野放しにしておくのも気が引ける...。

 実は、その後、この男に間違いないという人物が浮かび上がった。名前と出身地など、細かい情報をつかんだ。

 意外にも、“身近な人物”だった。

 仙台の海で、こういう嫌な気分を味わったのは、おそらく20年ぶりぐらいかもしれない。

 同じような嫌な目に遭うサーファーの人たちもいるかもしれないので、大雑把な特徴をここに記す。

 がっしりした体つき。目つきが悪い。日焼けしてちょっと黄ばんだショートボード。黒いウエットスーツ。海には仲間がいるようで、自分が“ローカルだと思い込んでいるポイント”は、七北田川河口。言葉が汚く、粗野。

 バカじゃない方々は、一応、気を付けましょう。

 その翌々日、波もなかったし、また会って邪魔されたら面倒くさいので、いざという時のため、ボードごと突っ込む気持ちで、同じポイントに、ショートより長さも大きさも倍以上あるロングボードを持ち込み、波乗りをした。

 くだんのバカなオヤジは見当たらず、海の上はとっても平和だった。

 いつも通り、楽しい波乗りができた。