laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

No.440 思い込み。

 「ぶっ殺してやる!」

 こんな物騒な言葉を、当時小学2年生の子どもAが、同級生Bに向かってぶつけたのだという。

 その話を聞いたBのお母さんは怒り心頭でAのお母さんを呼び出し、謝罪を求めた。

 全く身に覚えのないAは、Bの家の玄関先でBとそのお母さんにしぶしぶ頭を下げたが、釈然としない。

 時が過ぎ、互いに普通に言葉を交わせるまでになった2人。Aは思い切ってBに聞いてみた。

 「あの時、俺は本当にあんなこと言ってたのか?全く記憶がないんだけど、嘘だったんだろ、あれ?」

 しばし無言だったBは、最後に認めた。嘘だったということを。

 これ、今から40年近く前の実話。Aとはワタクシのことです(^_^;)。

 〝Bくんの名誉〟のために言っておくと、彼は悪意で嘘をついたわけじゃない。当時、ガキ大将的だったワタクシに、内気で気弱なBくんはきちんと言葉で表現できないでいた。確かあの時、何かの約束をしたことを覚えている。「ちゃんと守れよ!」と強く念を押すワタクシに、Bくんは逆らえない感覚を抱いたのだと思う。脅しのような感覚だったのだろう、本人からしたら。

 事実が分かってホッとしたし、もう随分時間が経過していたから、それでその話はおしまいとした。

 ただ、それだけのこと。

 幼くしてこういうことを経験し、人は時として状況次第で事実と異なることを口にすることがあるということを学んだ。

 Bくんがお母さんに告げた言葉は、狂言であり妄想だった。

 こう書いてしまうと、何だかオドロオドロシイ響きなんだけど、強迫観念が強かったり思い込みが激しかったりすると、こういう現象が起きるらしい。

 中学2年生の時、同級生男子が、「俺は透視力があるんだ。ほら、あそこにいる子の下着が見えるんだ」ってマジな顔して言っていた(笑)。彼、しばらくそんなことをほざいていたけど、思春期の男の子に特有の一種の思い込みだったのかもしれない。でも、もしかしたら、彼にだけは見えていたのかもしれないけど...。

 近ごろ、メンタルが弱い人々が多くなっているということをよく耳にする。

 確かに、そういう事例を知らないわけじゃない。

 ふと、むかしの思い出が記憶に蘇ってきた。