laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

親の七光り。

 基底にあるのは、子どもを思う親心からなのだろう。

 それは分かる。

 民間の企業ならね。善し悪しはまた別問題だということを差し引いても。

 でも、国民の税金が自分たちの報酬になっている世界で、世襲が半ば当然のようになっている状況は、たとえ“機能不全”の側面があろうが民主主義を掲げている国としてどうなのか?

 選挙のたびごと、指摘はあるけどあらたまる気配さえない。今回の参院選でも該当する二世、三世議員たちが国政の場に登場していた。

 毎度毎度こうした光景を目にすることに疲れてきた。

 はぁ〜...。

 現実が変わらないなら、せめて物語の世界で納得させてもらうしかない。

 『史上最強の内閣』室積光著 小学館文庫)




 冒頭を抜粋しましょう。

 外交も内政も問題山積みの非常時に総理大臣となった浅尾一郎。首相官邸で緊急記者会見を開くことになった。

 会見場のひな壇に総理大臣を中心にして浅尾内閣が勢ぞろいするなか、浅尾が国民に向けて語り掛ける。

 「事ここに至りまして、事態は私どもの能力の限界を超えました・・・。ここで日本国民の皆様に私の口から重大な事実をお伝えせねばなりません。大変長きにわたり、皆様をたばかって申し訳ありません。私たち内閣はいわば二軍でありまして、日本国には実は最強の『影の内閣』があるのです。
 皆さんも、その二世、三世ばかりの政治家に何ができるかと思ってたでしょう?地盤、看板、鞄を引き継いだだけのボンボンばかりで大丈夫か? って思ってたでしょが、本当のところ。
 実際のところそうなんですよ。親父や祖父さんの代で人材払拭してましてね。こんなやばい状況で腹の据わった人間連れてこなきゃ、この国まずいわけですよ。でもね、いないでしょう? 国会見てみてよ。見てよ。記者諸君もわかってるんだろう? 野党だって世襲議員ばっかりなのよ。温室育ちのモヤシッ子ばっかりでさ。どっちに転んだって、強面で世界と渡り合おうって奴あいないよ。どうすんだ? え、どうする?」



 破れかぶれの浅尾総理大臣。フィクションとはいえ、なんだかとてもリアリティーを感じるんですが........。

 この後、「1軍の内閣」が登場し、難問を片付けていく......。




 この本を読んだからといって、現実が変わるわけはないんですが、つかの間、すがすがしい気分にはなれます!

 気になるお方は、本屋さんに直行願います。