laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

みっともないよなぁ...。

 コンビニのレジカウンターでいら立ち気味の客がぞんざいにたばこの銘柄を指定している。デートと思わしきカップルが、喫茶店で向い合って座りながらあまり言葉を交わすことなくそれぞれにスマートフォンの画面をながめている。地下鉄では、コンパクトに映し出された自分の顔の化粧具合を確認、修正する女性のそばで、女子高校生たちが周りをはばかることなくゲラゲラと大げさに笑っている。

 歩道を歩く背広姿のサラリーマンが、取引先らしい電話口の相手に丁寧ながら大きな声でしゃべり続け、その前方から、ヘッドホンを付けた若者がかなりのスピードで自転車をこいで向かってくる。小さな子どもと歩いていた母親が、「ほら、危ないからこっちおいで! こっちだってば!」とがなりたてる。

 車道を、離れた場所からでも聞こえるぐらいの大音響でカーステレオをかけている車が通り過ぎ、あんまり用をなしていない交通整理員のオジサンが横断歩道の端の所で、「ハイハイ、こっちを渡ってください」などと言っている。誰も聞いていない。目を合わせようともしない。多くの歩行者が、携帯かスマホをいじくりながら歩いている。

 インターネットの世界では、どこそこのお店が美味しいだとか、これを食べました、買いました、手に入れましたなどと報告がてら、自分の車やらアクセサリーやら服やらご自慢の品をアップし、御丁寧にも自分の居場所を逐一公開している。

 夜のネオン街に久しぶりに出歩けば、相変わらず地味な色の背広をまとったサラリーマンたちが上司や部下の悪口を言い合いつつ、それぞれの自慢話を語るのを忘れない。聞いているふりして誰も聞いていないカラオケの曲が次から次と替わり、酔い潰れた老若男女がたまに道端で吐いている。地下鉄の座席ですっかり寝込んでしまった客が車掌に起こされ、千鳥足でホームを歩いていく...。


 ありふれた日常の光景。。。


 子どものころから見てきた光景もあるけど、大人になって当たり前になった光景もある。近年では、そんな光景になんだかすごく鈍感になってきたけど、つぶさに見つめる自分の周囲は、ざっとこんな感じで、ハッピーに思えない場面に少なからず彩られている。



 そんな状況に、ふと、なんだかなぁ、なんて思う時がある。




 新作を読んでいる藤原新也に影響されてか、彼の『空から恥が降る』(文春文庫)を思い出し、「みっともない」という言葉に思いいたった。



 偉そうに、他人さまのことをとやかく言える立場じゃないのは分かっているが...。