laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

ガラム。

 夏になると、ビーチで必ず思い起こすニオイがある。不意にそのニオイがどこからか運ばれ鼻を突いてくることがある。主は十中八九、サーファーだ。懐かしさとともにうれしさがこみ上げてくる。

 今から20数年前。かつてはサーファーの楽園とも呼ばれていたバリ島に初めて行った。滑走路に直接降りる飛行機のタラップの一番上に立った時、強烈に鼻を突いたニオイが、馬糞とガラムのニオイだった。蒸し暑さの熱気とない交ぜになった南国のニオイに最初こそかなり戸惑ったが、半日もすれば慣れてしまったことを思い出す。


 ニオイの正体は、ガラムというブランドのタバコのカオリ。今ほど喫煙に気を遣わなかった当時、日本でも旅するサーファーたちがインドネシア産のガラムを日本に持ち込み、あるいはそういう情報を聞きつけたサーファーたちが百貨店の輸入タバココーナーかなんかで買い求め、「俺は違うよ!」なんて雰囲気でガラムを吸っていた。

 そうは言ってもただのタバコじゃないガラムは、クローブを香料に使った強烈なニオイを放ち、数十メートル先からでも判別できてしまう。このニオイが苦手な人(圧倒的に多いと思います)には、単なる悪臭でしかなく、気取ったバーで気取ったサーファーたちがガラムを吸い出した時にはもうたまったもんじゃない。時に喧嘩さえ起こってましたから。

 でも、好きなんです、ガラム。喫煙が常習となる以前からガラムだけは好きだった。特有の甘ったるいニオイにノックアウトされるんですね。

 ニオイだけじゃなく成分も強烈です。一番強かった両切りのガラムはタール55ミリグラムでニコチン2.3ミリグラム。これ一本吸うとしばらく頭の中がクラクラ。具合が悪くなります。それでもサーファーたちは平気な顔で吸っていたっけなぁ。

 ほとんど、アホです。あぁ、懐かしい。