laid back

ほかから移ってきました。日々、思うところ感じるところを気ままにつらつらと。

前乗り。

 サーファーにとって、とても気になる裁判が起こされた。6日付け河北新報朝刊社会面に掲載された「サーフィン『前乗り』され大けが 多賀城の男性提訴 マナー違反は過失?」。海のトラブルがついに裁判沙汰になったか、そう感慨深げに読んだ。

 前乗りは、数あるサーフィンルールの中でも最も忌み嫌われるルール違反。相手サーファーに対する尊敬を欠き、危険が伴う行為なのだが、サーフィンの大衆化に伴い、かなり深刻な問題になりつつある。自分の波に前乗りされたサーファーが、前乗りしたサーファーが手を放したサーフボードのフィンがあごに当たり、骨を折る大怪我をした今回のケースは、死者こそ出なかったが最悪だ。ほぼ3年前に起きたアクシデントが話し合いでは解決できず、怪我を負ったサーファーが提訴に踏み切り、訴えられたサーファーは争う姿勢を示している、というから複雑な事情なのだろうが、前乗りが本当に行われていたとしたら裁判でなくとも、罰せられるべきは割り込みをした張本人以外にいない。

 マリンスポーツのルールが裁判の場でどう扱われ、アクシデントに至る経緯をどう証明するのかが興味深い。争いの進行は当然法廷に任せるが、半世紀以上も海に通っているサーファーとしてはどうしても一言言いたくて仕方がない。

 前乗りすら分からずにサーフィンをやっているサーファーが多すぎる。波に乗る優先権は、右、左に割れる波のブレイクポイントに近いサーファーにある。きちんと波を見て、次に起こりうる自然現象や近くにいるサーファーの次なる動きを連想すれば、優先権が自分にあるのかないのかは簡単に判断できる。これができずにいるのなら、その時点で、そのサーファーは海に入ってはいけない。ほかにサーファーがいないところで波乗りをやりなさい、と声を大にして言います。

 芸能人がこぞってサーフィンをするようになり、ここ10年ぐらいで海が〝荒れてきた〟。性格が荒っぽいサーファーが増えたのではない。マナー違反のサーファーが増えたのだ。前乗りやボードから安易に手を放すといった基本行為ができていない初心者に問題が多いのが特徴だと感じている。技術も経験もないからこそ危ない。そのへんをきちんとわきまえてから海に入ってちょうだいよ。頼むから。

 サーフィンは見た目は派手で単純で簡単そうなんですが、はっきり言ってかなり難しく、上達には相当の時間がかかり、場合によっては命の危険が伴う。レジャー気分でサーフィンを始めようという気持ちは勝手だが、何事もルール、マナーを守りましょうね。

 同様の裁判が次々に起こされないよう、海のトラブルは海で解決したいと願っている。